その利便性、娯楽性故に近年急激に普及しているインターネットであるが、インターネットの利用の際には当然メリットと同時にデメリットも存在する。デメリットは特にインターネットを過度に長時間利用した際に顕著に現れることから、インターネットの過度の利用に結びつくと考えられるインターネット依存について、その成因や特徴について様々な観点から考察することが本論文の目的である。
インターネット依存について、インターネット依存症と診断される際の診断基準や他の依存症との比較、そして共依存という観点からのインターネット依存の特徴について整理・分析した。その中で見られたインターネット依存及びインターネット依存症者の特徴は以下のようなものになる。
- 日常生活におけるインターネットの重要性を異常なまでに大きなものと捉え、他の何かを犠牲にしてでもインターネットに執着する。
- インターネットを長時間利用することに罪悪感があり、インターネットを止めようとするが不安感や強迫観念などから止めることができない。
- インターネット依存の中は、プロセス依存のみに限らず関係依存にも分類可能。
- 相手に対する自己開示の程度を自由に変えられるインターネットの匿名性の高さは、自己評価の低い共依存者にとっては非常に都合が良く感じられる。
- インターネット依存はストレス対処の際、逃避のみならず代替として機能するため本人にとってはストレスに対する問題中心の対処と認識されるが、実際に直面する問題の解決に結びつかないものも問題中心の対処と認識される可能性がある。
- インターネット依存は他の多くの依存と違い、明確な挫折を経験しないまま依存症に移行してしまうという可能性が考えられる。
また、成因の面では他の依存症と同様に機能不全家族などに起因する自己愛の欠如や自己評価の低さ、すなわち共依存によって生み出された依存的体質とでも言うべき精神傾向が大きく作用していると言えるだろう。
これらインターネット依存の特徴や成因を充分に認識し、インターネットの過度な利用を回避することがインターネットをより有効に活用するためには重要だと言えるだろう。