メディアが作り出す中国人イメージ-反日デモ報道を中心に考える-

 この論文ではメディアによる中国人イメージの形成への影響を調査、分析する。具体的には2005年4月に中国各地で起きた反日デモ活動の報道をメディアを通じて読んだり見た後、メディアに接しなかった人と中国人に対するイメージはどのように異なったか、またメディアによる差異はあったか、ということを調査した。メディアによる差異というのは新聞とテレビニュース、それぞれを見た人の間の差である。さらに、反日デモ活動の報道に接していると、デモ活動が大規模なものであり中国人の反日感情を非常に強いものと感じるようになるのではないか、と考えこの点に関しても調査を行った。

  1章の序章では近年の中国の大国としての存在や日本にとっての中国の存在の大きさ、それにもかかわらず日本人・中国人双方の理解があまり進んでおらず、両国の衝突について述べた。2章ではメディアが私たちの外国人イメージ形成の過程においてどのような影響を与えているか、先行研究を用いながら取り上げた。3章では新聞とテレビという2つのメディアについて今まで行われてきた効果研究を取り上げた。調査で新聞記事を読んだ人とテレビニュースを見た人の間で差がでるだろうと考えたので、両メディアの特性とその特性が視聴者や読者に与える影響について書くことは必要だと思われたからである。特にテレビ映像の効果研究は多く行われてきたし、テレビニュースを取り上げる予定だったのでほかの部分よりも字数を多くさいている。4章では実際に行った調査について、仮説や方法、そして結果を述べた。5章では調査によって得た結果について考察を行った。調査では仮説の中で実証された部分と実証されなかったものがあったが、なぜそのような結果になったか、前の章で取り上げた先行論文や過去の社会心理学者の考え方をふまえながら自分なりに考えて論じた。6章は全体のまとめと今後の展望である。