本論文は、大学生に対するツイート分析調査を中心に、「ツイッター」利用者の類型を探るものである。前半部では機能や歴史を整理しつつ、インターネットメディアの先行研究にも触れながら、「ツイッターとはなにか?」という事に迫っている。後半部ではそれらの知見をもとに、大学生のツイート分析と利用者の類型化を行っている。
ツイッターの基本的な機能は、140文字以内のメッセージ(ツイート)をリアルタイムで共有するというシンプルなもので、情報のインフラのような性格を持っている。ツイッターでの利用者間の関係性は「フォロー」という一方的なものであるが、個人間のコミュニケーション手段である「リプライ」なども存在し、多様な利用方法が可能となっている。
ツイッターは2006年にアメリカでサービスを開始し、当時から日本ではブロガーなどによって利用されていた。2009年の春以降、有名人の利用とマスメディアへの取り上げの相乗効果によって、ツイッターはキャズムをこえて急激に利用者を増すと同時に、様々な層を利用者として取り込むことになった。この利用者の量的・質的変化によって、ツイッターにも変化が現れると考えられ、利用者の実態把握の必要性が生まれている。
ツイッターは他のインターネットメディアと比べても、そのリアルタイム性や伝播力において特殊性を持っているといえる。類似するメディアとしては、ウェブ上での自己開示行為であるウェブ日記としての性格を持っていると考えられるため、ブログやSNSとの共通性が予想される。
大学生に対するツイート分析調査では、既存のツイッター利用者調査では扱えていなかった、具体的なツイート内容を分析することで、ツイッター利用者の類型化を行った。分析方法は、ツイート50件を内容・指向性・リアルタイム性などの観点から分類して利用傾向を調べ、各利用者の利用歴やツイート総数などの利用状況と、組み合わせて考察するというものである。結果、全体的に「自分の身の回りのことや思いつき」に関するツイートが多いが、利用者のフォロー数・ツイートの指向性・リプライの数等によって現れる「利用の指向性」が利用方法を大きく左右していることがわかった。これをもとに、自分を中心としたツイートを行う「個人的利用」、知人関係などでの交流を重視する「身内的利用」、社会的な話題で様々な人との交流を行う「社会的利用」という3つの利用方法に分化するという利用者類型が明らかになった。