この論文は、mixiの日記の公開レベルによって、内容に差が出るかを分析、検証したものである。
一般的にインターネット上での自己開示はされやすいと言われている。それは互いに匿名状態であり、その方が人は自分の内面を話しやすいからである。しかしSNSは全くの匿名ではないので自分の身元はわかってしまう。しかし、普通のブログに比べてもSNS内の日記では多くの自己開示がなされているように思える。では、日記が読める対象がSNS内に限られているからだろうか。しかしSNSももはや巨大なネットワークになっているので、対象が限られているとも言いがたい。では、アクセス制限をかけて日記の読者を選ぶ方が、自分の内面を話すのだろうか。mixi日記ならば日記の公開レベルが選べる。友人までの公開、とした場合、制限をかけなかった場合よりも自分の内面を話しているのではないだろうか。また、女性の方が自己開示度が高いという多くの研究結果から、それがmixiの日記でも該当するかを検証した。以下の2つの仮説を立てた。
1.相手の匿名制の有無は、SNS上の自己開示に影響がある
2.自己開示の男女差が、SNSの日記にもあてはまる
これを検証するために、実際にmixiの日記を公開レベル別に分析することにした。
以下の章構成で検証していく。1章では、SNSについて、mixiについて説明する。2章では、過去の自己開示研究から自己開示について論ずる。自己開示とは、「自分がどのような人物であるかを他者に言語的に伝える行為」のことをさす。また、多くの研究結果から、女子の方が自己開示度が高いということがわかっている。3章では、インターネット上での自己開示を、インターネット心理学の観点から見る。一般的にコンピュータを介したコミュニケーション(CMC)の方が、対面状況よりも自己開示がされやすいと言われている。そして4章では、実際にmixi日記を内容分析し、その結果を記す。公開レベルは全体に公開にしている群、アクセス制限をかけている群とに分け、結果に差が出るか検証した。結果としては、仮説1、は支持されなかったが仮説2は支持された。そして、5章でまとめ、今後の課題、となる。